文科省の外郭団体 映画の助成金交付取り消し条件を厳格化

芸術活動を支援している文部科学省の外郭団体は、有罪が確定した俳優の出演を理由に映画の助成金の交付を取り消したことをめぐる裁判で敗訴が確定したことを受け、交付を取り消す際の条件を見直し「公益が害される具体的な危険がある場合」などと厳格化しました。

文部科学省の外郭団体、日本芸術文化振興会は2019年に薬物事件で有罪が確定した俳優が出演していることを理由に、映画「宮本から君へ」に対する助成金1000万円の交付を取り消しましたが、製作会社が不当だとして裁判を起こし、去年11月に最高裁判所は製作会社の訴えを認める判決を言い渡しました。

これを受け団体は助成金交付の要綱を見直し、取り消す際の条件を「公益性の観点から不適当と認められる場合」から「公益が害される具体的な危険があり、公益が重要なものである場合」と変更しました。

また、この条件に該当するかは、専門家を含む委員会で審議を行うことも新たに盛り込みました。

一方、映画製作の団体の関係者からは「『公益』というあいまいな概念を理由に取り消しができる状況は変わらないのではないか」と懸念する声も上がっています。